- 執筆者弁護士 山本哲也

「退院の話が出ているが、家で介護ができるのか不安でたまらない」 「仕事に戻れる状態ではないのに、これから先の生活費はどうなるのか」
労災による後遺障害の中で、1級に次いで重いのが障害等級2級です。日常生活の場面ごとに介助が欠かせない状態や、両目の視力をほとんど失った状態がこれにあたります。
治療が長く続いた末に、医師から症状固定を告げられ、ようやく先のことを考え始めたという方も多いはずです。これからの生活のかたちが変わる中で、補償の手続きにも向き合わなければなりません。
本コラムでは、労災における障害等級2級の内容と認定の流れ、受けられる補償、そして慰謝料の考え方について、群馬県高崎市・前橋市に拠点を置く山本総合法律事務所の弁護士が解説します。
労災の障害等級2級とはどのような状態か

仕事中や通勤中のけがや病気について、治療を続けても回復が見込めない状態になることを症状固定といいます。この時点で残った障害が後遺障害であり、程度に応じて1級から14級までの等級が定められています。
2級は、そのうち1級に次いで重い等級です。労働能力を完全に失った状態と評価され、年金の形で補償が続きます。
1級との違いは、介助の必要性の程度にあります。1級が常に介護を要する状態であるのに対し、2級は、食事や入浴、移動など、場面に応じて介助が必要となる状態です。これを随時介護といいます。
【参考】労災事故にあい、治療中の方へ
障害等級2級に該当する主な症状

労災の障害等級表では、第2級に次の6つが定められています。
- 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
- 両眼の視力が0.02以下になったもの
- 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
- 両上肢を手関節以上で失ったもの
- 両下肢を足関節以上で失ったもの
実務で多いのは、3つ目と4つ目にあたる、随時介護を要する状態です。頭部外傷による高次脳機能障害や、脊髄の損傷によって起こります。
身の回りのことを一人で行えない一方、常に付き添いが必要というほどではない。この線引きが、1級との間で争いになりやすい部分です。
認定の基準と認定までの流れ

等級は、症状固定の時点における状態をもとに判断されます。
症状固定の診断を受ける
主治医が、これ以上の改善が見込めないと判断した時点が症状固定です。
診断書などの書類を準備する
障害の状態を示す診断書のほか、画像や検査の結果、介助の実情が分かる資料をそろえます。
労働基準監督署へ請求する
障害補償給付の支給請求書を提出します。
調査と決定
監督署による調査が行われ、必要に応じて面談や医師への照会を経て、等級が決定されます。
2級では、どの場面でどの程度の介助が必要なのかが結論を左右します。とくに高次脳機能障害は、短い面談の中では状態が伝わりにくく、受け答えができることをもって軽く評価されてしまうことがあります。起床から就寝までの一日を通して、何ができて何ができないのかを記録しておくことが大切です。
【参考】労災保険の申請
2級の認定を受けた場合の補償

労災保険からは、主に次の給付を受けられます。
- 障害補償年金として、給付基礎日額の277日分が毎年支給されます
- 障害特別支給金として、320万円が一時金で支給されます
- 算定基礎日額に応じた障害特別年金が支給されます
- 随時介護を受けている場合には、介護補償給付が支給されます
介護補償給付には月ごとの上限が定められており、常時介護の場合よりも低い水準にとどまります。実際にかかる費用や、ご家族が負担する手間のすべてが補われるわけではありません。
【参考】労働災害と後遺障害等級認定
慰謝料は労災保険からは支払われません

労災保険の給付に、慰謝料は含まれていません。
精神的な苦痛に対する慰謝料を求めるには、会社に対して損害賠償を請求する必要があります。安全な設備や作業の体制を整える義務を会社が怠っていた場合に、その責任を問うことができます。
裁判で用いられる基準では、後遺障害2級の慰謝料はおよそ2,370万円とされています。これに加えて、次のものを請求できる場合があります。
- 働けなくなったことによる逸失利益
- 将来にわたって必要となる介護の費用
- 介護のために必要となる自宅の改修や車の改造にかかる費用
- ご家族自身の精神的な苦痛に対する慰謝料
一方で、会社の責任を問うには、どのような危険があり、どの対策が取られていなかったのかを示す必要があります。受け取った年金の一部が賠償額から差し引かれる点もあわせて考える必要があります。
認定や請求で気をつけたいこと

決定に納得できない場合
1級と2級の境目にある事案では、介助の実情が十分に伝わらないまま決定が出ることがあります。審査請求によって争うことができますので、通知を受け取ったら早めにご確認ください。
会社から示談を提案された場合
将来の介護費用まで含まれているかを確認しないまま署名すると、後から追加の請求ができなくなるおそれがあります。
ご家族の負担について
介護をご家族が担う場合でも、その負担は損害として評価されます。実際にどれだけの時間と手間がかかっているのかを記録しておいてください。
労災による後遺障害でお悩みの方は山本総合法律事務所へ

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山本総合法律事務所は、高崎・前橋の2拠点に8名の弁護士が在籍し、チーム体制で労災問題に対応しています。労災保険の申請から後遺障害の等級認定、会社への損害賠償請求まで、一貫してサポートいたします。労災に関するご相談は何度でも無料で、交渉段階では着手金もいただいておりません。
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