労災の様式8号について解説!記入例や手続きの流れを紹介

労災の様式8号について解説!記入例や手続きの流れを紹介

労災により仕事を休むことになったときは、休業補償給付を受けることができます。その際に必要になる書類が「休業補償給付支給請求書(様式第8号)」です。

休業補償給付の申請をする際には、入手方法や記載内容、提出先、流れなどを正確に理解しておく必要があります。

本記事では、労災の様式8号の基本情報から記入例、提出の流れ、注意点までわかりやすく解説します。

労災様式8号とは

労災様式8号とは

労災様式8号とは、「休業補償給付支給請求書」と呼ばれる書類です。これは、労災による負傷や疾病のために仕事を休まざるを得なかった場合に、休業補償を請求するために必要になる書類です。

具体的には、以下の要件を満たす場合に、労災様式8号を労働基準監督署に提出することで、会社を休んだ期間の賃金補償を受けることができます。

  • 労災により労働者が負傷した
  • 労災による負傷で働くことができず、休業している
  • 会社から賃金が支払われていない

なお、休業補償給付の詳細については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

【参考】労働災害の休業補償

労災様式8号の入手方法と記入例について

労災8号

労災様式8号は、どこで入手し、どのように記載すればよいのでしょうか。以下では、労災様式8号の入手方法と記入例について説明します。

労災様式8号の入手方法

労災様式8号は、以下の方法で入手することができます。

  • ・厚生労働省の公式サイトからダウンロード
  • ・労働基準監督署の窓口で配布

なお、労災様式8号をダウンロードする際は、以下のサイトから入手できます。

【参考】労災様式8号ダウンロード

労災様式8号の記入例

以下では、労災様式8号の主な記載事項と記入例を紹介します。

負傷又は発病年月日

労災事故の発生日または発病の日を正確に記入します。

療養のため労働できなかった期間

療養のために労働できなかった期間とそのうち賃金を受けられなかった日数を記入します。機械で読み取りますので、算用数字で記入するようにしてください。

事業主の証明

事業主の証明が必要になりますので、職場の上司や担当部署に相談して、事業主証明欄の記入をしてもらいましょう。

医師の証明

「診療担当者の証明」欄は、治療を担当している医師に依頼して、記入してもらいましょう。

労働者の職種

労働者の職種は、なるべく具体的に作業内容がわかるように記入してください。

例:トラック運転手

平均賃金

労災様式8号の別紙1「平均賃金算定内訳」を利用して、平均賃金を計算し、その額を記入します。

災害の原因、発生状況及び発生当日の就労・療養状況

  • どのような場所で
  • どのような作業をしているときに
  • どのような物または環境に
  • どのような不安全または有害な状態があって
  • どのような災害が発生したか
  • 負傷又は発病年月日と初診日と災害発生日が同じ場合はその日の所定労働時間内に通院したか
  • 「負傷又は発病年月日」と初診日が異なる場合はその理由

を詳細に記入します。

例:当社第2倉庫入り口で18リットル入りの白灯油缶を倉庫に入れて保管するために、トラックの荷台から両手で抱えて一缶ずつ運搬中、コンクリートの床面にこぼれていた油で足をすべらせ、灯油缶を足に落とし、左足腓骨下端部を骨折した。

当該傷病に関して支給される年金の種類等

同一の事由により厚生年金保険等の年金を支給されている場合に記入します。

【参考】労災様式8号の注意点

労災様式8号の提出先と流れについて

休業補償給付申請の流れ

労災により会社を休んで収入が減ったときは、労災様式8号を利用して休業補償給付の申請を行います。以下では、労災様式8号の提出先と流れを説明します。

労災様式8号の提出先

労災様式8号は、原則として労災が発生した事業場を管轄する労働基準監督署に提出します。

労災様式8号を利用した休業補償給付申請の流れ

様式8号の入手・記入

まずは、様式8号の用紙を入手します。厚生労働省のホームページからダウンロードするか、労働基準監督署の窓口でもらうことが可能です。職場の総務や人事部でも配布している場合がありますので確認してみるとよいでしょう。

様式8号の入手後は、労働者本人、医師、事業主により記入が行われます。

必要書類の準備

労災様式8号を提出する際には、以下のような書類を提出する必要があります。

  • 別紙1(平均賃金算定表)
  • 別紙2(休業補償給付の請求をする期間中に賃金の一部が支払われた場合)
  • 別紙3(複数の会社で働いている場合)
  • 賃金台帳の写し
  • 出勤簿の写し

労働基準監督署へ提出

様式8号の記入と書類の準備が整ったら、所轄の労働基準監督署へ提出します。提出方法は以下の3つの方法があります。

  • 窓口提出:もっとも確実な方法。担当者にその場で確認してもらえる
  • 郵送提出:遠方の場合や時間が取れない場合に便利。控えを取ることを忘れずに
  • 電子申請:時間や場所にとらわれずオンラインで手続きが完了します

審査・支給決定

提出後、労働基準監督署において内容の審査が行われます。審査期間はケースにもよりますが、通常1〜2か月程度が目安です。

休業補償給付の支給

審査が完了すると、「支給決定通知書」が交付され、指定した口座に休業補償給付が振り込まれます。支給額は、原則として休業4日目から、1日につき給付基礎日額の60%が支給されます。

さらに、特別支給金として給付基礎日額の20%相当額も別途支給されるため、合計で実質的に8割程度の補償を受けることができます。

【参考】労災様式 5 号とは?書き方、手続きの流れについて

労災様式8号の注意点

労災様式8号の注意点

労災様式8号により休業補償給付の申請をする際には、以下の点に注意が必要です。

複数回提出が必要なケースも

療養期間が長引く場合や初回申請後に休業が継続する場合には、様式8号を複数回提出する必要があります。継続申請の際は、前回の申請と整合性を取ることが重要です。

誤記載・記入漏れによる再提出が多い

労災様式8号は、非常に細かい情報を求められる書式のため、記入ミスや記載漏れが多発しがちです。特に、賃金計算や休業期間の整合性には注意しましょう。

複雑な申請が多いので弁護士に相談する

労災の申請は、負傷や疾病の内容・労働実態・雇用形態などによって難易度が大きく異なります。特に、以下のようなケースでは、弁護士に相談することをおすすめします。

  • 会社が協力的でない(証明欄への記載を拒否される等)
  • 労働基準監督署で給付申請が却下された
  • フリーランス・請負業など労働者性が争点になる場合

弁護士に相談すれば、申請のサポートだけでなく、会社側との交渉や異議申し立ての手続きも任せることができます。

労災分野に強い弁護士にご相談ください

集合写真

様式8号を利用して休業補償給付の申請をすることで、療養中の賃金が補償されますので、収入面の不安なく治療に専念することができます。しかし、様式8号の記入や申請は、非常に複雑ですので、知識や経験がないと記入漏れや記入の誤りなどによりスムーズに補償を受けられない可能性があります。

労災様式8号の記入や提出に不安がある方は、労災分野に精通した弁護士にご相談ください。経験豊富な弁護士であれば、初回相談時に適切な対応策や申請の見通しを提示してくれるでしょう。

弁護士法人山本総合法律事務所では、労災問題に関する豊富な経験と実績がありますので、労災に関するお悩みは、当事務所までお気軽にご相談ください。

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