後遺障害3級とは?主な症状や認定基準、慰謝料相場について弁護士が解説

「身の回りのことはできるのに、もう働くことはできないと言われた」 「見た目には分かってもらえず、会社にも家族にも理解されない」

労災による後遺障害の等級のうち、3級は、生涯にわたって働くことができないと評価される重い等級です。

介助を必要とする1級や2級とは異なり、日常生活は一人で送れることも少なくありません。それだけに、周囲から状態を理解されにくく、本人だけが苦しさを抱え込んでしまうことがあります。収入の道が絶たれた中で、生活をどう立て直すかという現実的な問題も重くのしかかります。

本コラムでは、労災における障害等級3級の内容と認定の流れ、受けられる補償、そして慰謝料の考え方について、群馬県高崎市・前橋市に拠点を置く山本総合法律事務所の弁護士が解説します。

労災の障害等級3級とはどのような状態か

仕事中や通勤中のけがや病気について、治療を続けても回復が見込めない状態になることを症状固定といいます。この時点で残った障害が後遺障害であり、程度に応じて1級から14級までの等級が定められています。

3級は、1級および2級と同じく、労働能力を完全に失った状態と評価される等級です。補償も年金の形で続きます。

1級や2級との違いは、介護の必要性にあります。1級は常に介護を要する状態、2級は随時介護を要する状態であるのに対し、3級は、介護までは必要としないものの、生涯にわたって仕事に就くことができないと評価される状態です。

障害等級3級に該当する主な症状

労災の障害等級表では、第3級に次の5つが定められています。

  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
  2. そしゃくまたは言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失ったもの

実務で問題になりやすいのは、3号と4号です。頭部外傷による高次脳機能障害や、内臓の重い機能障害がこれにあたります。

高次脳機能障害では、記憶や感情のコントロールに障害が残り、周囲との関係を保ちながら働き続けることができない状態が含まれます。本人に自覚が乏しいこともあり、ご家族が気づいた変化を伝えることが重要になります。

認定の基準と認定までの流れ

等級は、症状固定の時点における状態をもとに判断されます。

症状固定の診断を受ける

主治医が、これ以上の改善が見込めないと判断した時点が症状固定です。

診断書などの書類を準備する

障害の状態を示す診断書のほか、画像や検査の結果、日常生活の様子が分かる資料をそろえます。

労働基準監督署へ請求する

障害補償給付の支給請求書を提出します。

調査と決定

監督署による調査が行われ、必要に応じて面談や医師への照会を経て、等級が決定されます。

3級では、就労が可能かどうかが判断の分かれ目になります。面談の場では受け答えができても、実際には作業の手順を覚えられない、感情を抑えられず人と衝突してしまうといった事情があるはずです。事故の前後で何がどう変わったのかを、ご家族や同僚の視点から具体的に示すことが欠かせません。

【参考】労働災害と後遺障害等級認定

3級の認定を受けた場合の補償

労災保険からは、主に次の給付を受けられます。

  • 障害補償年金として、給付基礎日額の245日分が毎年支給されます
  • 障害特別支給金として、300万円が一時金で支給されます
  • 算定基礎日額に応じた障害特別年金が支給されます

なお、介護補償給付の対象となるのは1級と2級の一部に限られるため、3級では支給されません。働けない状態が続く以上、年金と後述する会社への請求が、生活を支える柱になります。

【参考】労災事故で損害賠償請求する際のポイント

慰謝料は労災保険からは支払われません

労災保険の給付に、慰謝料は含まれていません。

精神的な苦痛に対する慰謝料を求めるには、会社に対して損害賠償を請求する必要があります。安全な設備や作業の体制を整える義務を会社が怠っていた場合に、その責任を問うことができます。

裁判で用いられる基準では、後遺障害3級の慰謝料はおよそ1,990万円とされています。これに加えて、働けなくなったことによる逸失利益を請求できます。3級は労働能力を完全に失ったものとして扱われるため、退職に至った場合、その金額は大きなものになります。

一方で、会社の責任を問うには、どのような危険があり、どの対策が取られていなかったのかを示す必要があります。受け取った年金の一部が賠償額から差し引かれる点もあわせて考える必要があります。

認定や請求で気をつけたいこと

軽く評価されやすい

外見上の変化が乏しい障害では、実情より軽い等級にとどまることがあります。納得できない場合は、審査請求によって争うことができます。期間に制限がありますので、通知を受け取ったら早めにご確認ください。

会社から復職をうながされた場合

働ける状態ではないにもかかわらず復職し、短期間で辞めることになると、就労が可能であったと受け取られかねません。判断に迷われたときは、その前にご相談ください。

示談の提案を受けた場合

提示された金額に、将来受け取るはずの収入の補償が含まれているとは限りません。署名の前に内容をご確認ください。

【参考】労働災害を弁護士に相談すべき3つの理由

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