- 執筆者弁護士 山本哲也
突然の労災事故に直面したあなたへ


仕事中の転落や機械への巻き込まれ、通勤途中の事故——労働災害は、心の準備をする間もなく、ある日突然起こります。
被災された直後は、けがの痛みと目の前の治療のことで頭がいっぱいになり、「これから自分はどうなるのか」を冷静に考える余裕などないのが当然です。
入院や通院が必要になれば、当面は仕事を休まざるを得ません。
収入が途絶える不安、治療費の負担、休むことへの会社への気兼ね、そして「本当に元の身体に戻れるのだろうか」という将来への恐れ。
被災直後は、身体的にも経済的にも、そして精神的にも、最も負荷の重くのしかかる時期といえます。
しかしその一方で、この時期にどう動くかが、その後に受け取れる補償の内容を大きく左右します。
事故の痕跡や証拠が残っているうちに手を打てたかどうか、必要な手続を適切な時期に行えたかどうかで、最終的な結果に差が出ることは決して珍しくありません。
群馬県の弁護士法人山本総合法律事務所では、労災事故に遭われた直後の段階でご相談にお越しになる方を数多くサポートしてきました。
本コラムでは、被災直後の方に知っておいていただきたい要点を整理してお伝えします。
いま優先して取り組んでいただきたいこと

治療を最優先に。受診時は「労災である」と必ず伝える
まず何よりも、身体の回復が第一です。
その際に注意していただきたいのが、健康保険証を使わないという点です。
業務上または通勤途上のけがは労災保険で扱われるため、健康保険とは制度が異なります。
労災指定医療機関であれば「様式第5号」(通勤災害の場合は「様式第16号の3」)を提出することで、窓口での自己負担なく治療を受けられます。
指定外の病院でいったん立て替えた場合も、後から請求することが可能です。
会社へ事故の発生を報告する
「大したけがではないから」「言い出しにくいから」と報告をためらう方がいらっしゃいますが、報告の遅れは後々「本当に仕事中の事故なのか」という争点を生みます。
発生日時、場所、作業内容を具体的に伝え、できれば書面やメール、チャットなど記録の残る形で伝えておくと安心です。
事故の状況を自分の手で記録に残す
現場の様子、破損した機械や器具、安全設備の有無などは、時間が経つと片付けられ、元の状態が分からなくなってしまいます。
可能な範囲でスマートフォンの写真に残し、目撃していた同僚の氏名も控えておいてください。
ご自身が動けない状況であれば、ご家族に依頼していただいても構いません。
あわせて、痛みの程度や日々の症状の変化をメモに残しておくと、後の後遺障害の判断の際に役立ちます。
労働基準監督署への請求手続を進める
療養に関する給付のほか、休業4日目からは休業補償給付が支給されます。
会社が手続に協力してくれない、あるいは労災であること自体を認めようとしないケースもありますが、労災保険の請求は被災された方ご本人が行うことができます。
会社の同意がなければ申請できない、というものではありません。
なお、療養・休業に関する給付の請求権には2年という時効がある点にも注意が必要です。
早い段階での示談・和解の申し出には慎重に
被災直後に会社側から解決金の提示を受けることがあります。
しかし治療が終わっていない段階では、後遺症が残るかどうかも、損害の全体像も分かりません。
いったん示談が成立すると、後から追加の請求をすることは原則としてできなくなります。
署名・押印の前に、必ず専門家の意見を聞いてください。
【参考】労災の病院変更が認められる理由とは?労災治療の転院について解説
早期に弁護士へ相談することで得られるもの

労災保険だけでは補いきれない損害があります
労災保険は生活を支える大切な制度ですが、万能ではありません。
休業補償は給付基礎日額の6割(特別支給金を加えても8割)にとどまり、減収分が全額埋まるわけではありません。
そして何より、精神的苦痛に対する慰謝料は労災保険からは一切支給されません。
会社に安全配慮義務違反などの責任が認められる場合、労災保険とは別に損害賠償を請求できる可能性があります。
この見極めは早い段階でこそ意味を持ちます。
証拠が失われる前に手を打てます
事故から時間が経つほど、現場は復旧され、記憶は薄れ、関係者の証言も得にくくなります。
初動の段階で弁護士が関与すれば、何を残すべきかを的確に判断し、必要に応じて会社への資料開示の求めなども行えます。
手続と交渉の負担から解放されます
療養中の身体で慣れない書類を作成し、会社と難しいやり取りをするのは大きな負担です。
弁護士が窓口となることで、あなたは治療に専念できます。
後遺障害を見据えた備えができます
将来的に症状が残る可能性がある場合、どの検査を受け、どのような記録を残しておくべきかが、等級認定の結果を分けます。
被災直後からの助言が、最終的な補償額に直結します。
山本総合法律事務所によるサポート

当事務所は群馬県内に高崎市と前橋の2拠点を置き、地域の皆さまの身近な相談先であり続けることを大切にしてきました。
労災事故については、次のような形でお力になります。
- 初期対応のご助言:受診・報告・記録の取り方など、いま何をすべきかを具体的にお伝えします
- 労災保険の請求サポート:労働基準監督署への各種給付請求について、書類の準備から進め方までご支援します
- 後遺障害等級認定のサポート:適正な等級が認定されるよう、医証の整え方を含めて対応します
- 会社・第三者への損害賠償請求:安全配慮義務違反や不法行為に基づく請求について、示談交渉から訴訟まで代理します
- 不支給決定への不服申立て:審査請求など、決定に納得がいかない場合の手続にも対応します
- ご家族からのご相談:死亡事故や過労死・過労自死の事案、ご本人が意思疎通の難しい状態にある場合も、ご家族からのご相談をお受けしています
- 通勤災害・交通事故を伴う事案:労災保険と自賠責・任意保険が交錯するケースにも、双方の知見をもって対応します
まずは一人で抱え込まずにご相談ください

被災された直後は、「会社に迷惑をかけたくない」「こんなことで弁護士に相談してよいのだろうか」と、ためらう気持ちが働くものです。
しかし、正当な補償を受けることは、働く方に認められた当然の権利です。
そして、その権利を十分に実現できるかどうかは、動き出す時期に大きく左右されます。
弁護士法人山本総合法律事務所では、労災事故に関するご相談を承っております。
まだ治療中で見通しが立たない段階でも構いません。「これは労災になるのだろうか」という段階のご質問でも、どうぞお気軽にお声がけください。
ご本人がご来所困難な場合の対応についても、遠慮なくご相談いただければと思います。
あなたとご家族がこの先の生活を安心して立て直していけるよう、地域の弁護士として全力でお支えいたします。




