- 執筆者弁護士 山本哲也

仕事中や通勤中の事故でケガをして治療を続けたものの、痛みやしびれなどの症状が残ってしまうことがあります。
このような場合、労災保険では「障害等級」の認定を受けることで、障害(補償)等給付を受け取ることができます。
障害等級のなかでも最も認定件数が多いのが「14級」です。むちうちによる首や腰の痛み、手足のしびれなど、比較的軽度の症状が残ったケースで認定されることが多い等級ですが、「14級に認定されたら、実際いくらもらえるのか」を正確にご存じの方は少ないのではないでしょうか。
本コラムでは、群馬県高崎市と前橋市の群馬県内に2拠点を有する山本総合法律事務所の弁護士が、労災で後遺障害14級と認定された場合に受け取れる金額の計算方法や、弁護士に相談するメリットについて解説します。
そもそも労災とは何か

労災(労働災害)とは、労働者が業務中または通勤中に負傷したり、病気にかかったり、障害を負ったり、死亡したりすることをいいます。
労災は大きく分けて2種類あります。
ひとつは、仕事が原因で発生した「業務災害」です。たとえば、工場で機械に手を挟まれてケガをした、建設現場で足場から転落した、といったケースが典型例です。
もうひとつは、通勤の途中で発生した「通勤災害」です。
出勤や退勤の途中で交通事故に遭ってケガをした場合などがこれにあたります。
業務災害・通勤災害と認められれば、労働者は労災保険からさまざまな給付を受けることができます。
労災保険は、正社員だけでなく、パート・アルバイトなど雇用形態を問わずすべての労働者に適用される点も重要なポイントです。
労災保険から受けられる給付の種類

労災保険には、被災労働者の状況に応じて次のような給付が用意されています。
- 療養(補償)等給付:治療費や入院費など、治療にかかる費用の給付
- 休業(補償)等給付:ケガや病気の療養のために仕事を休み、賃金を受けられない場合の給付
- 障害(補償)等給付:治療を続けても症状が残り、障害等級に認定された場合の給付
- 遺族(補償)等給付:労働者が亡くなった場合に遺族へ支給される給付
- 葬祭料等(葬祭給付):亡くなった労働者の葬祭を行う場合の給付
- 傷病(補償)等年金:療養開始から1年6ヶ月を経過しても治らず、傷病等級に該当する場合の年金
- 介護(補償)等給付:一定の障害により介護を受けている場合の給付
このうち、後遺障害14級に認定された場合に問題となるのが「障害(補償)等給付」です。
【参考】Q.自分にも原因(過失)があります。それでも、労災保険の給付請求や会社に対して損害賠償などを請求出来ますか?
障害(補償)等給付の種類

障害(補償)等給付は、残った障害の重さに応じて第1級から第14級までの障害等級に区分され、等級によって給付の内容が異なります。
障害の程度が重い第1級から第7級に認定された場合は、毎年継続して支給される「障害(補償)等年金」が支給されます。
一方、第8級から第14級に認定された場合は、一度だけまとまった金額が支給される「障害(補償)等一時金」となります。
したがって、14級に認定された場合に受け取れるのは「一時金」です。具体的には、次の3つの給付を受け取ることができます。
- 障害(補償)等一時金
- 障害特別支給金
- 障害特別一時金(ボーナスなどの特別給与を受けていた場合)
後遺障害14級でもらえる金額の計算方法

障害(補償)等一時金
14級の場合、障害(補償)等一時金は「給付基礎日額の56日分」です。
給付基礎日額とは、原則として、労災事故が発生した日の直前3ヶ月間に支払われた賃金の総額(ボーナスを除く)を、その期間の暦日数で割った金額をいいます。
たとえば、直前3ヶ月間の賃金総額が92万円、暦日数が92日の場合、給付基礎日額は1万円となり、障害(補償)等一時金は「1万円×56日分=56万円」です。
障害特別支給金
障害特別支給金は等級ごとに定額で支給されるもので、14級の場合は「8万円」です。
障害特別一時金
ボーナス(賞与)などの特別給与を受け取っていた方は、障害特別一時金も支給されます。
14級の場合は「算定基礎日額の56日分」です。算定基礎日額とは、原則として、事故前1年間に受け取った特別給与の総額を365で割った金額をいいます。
たとえば、年間のボーナスが73万円だった場合、算定基礎日額は2,000円となり、障害特別一時金は「2,000円×56日分=11万2,000円」です。
労災保険だけでは補償されない損害がある
ここで注意していただきたいのは、労災保険からの給付だけでは、被災労働者に生じた損害のすべてがカバーされるわけではないという点です。
労災保険には慰謝料という項目がありません。
また、後遺障害によって将来の収入が減少する損害(逸失利益)も、労災保険の一時金だけでは十分に填補されないことが少なくありません。
会社に安全配慮義務違反などの落ち度がある場合には、労災保険とは別に、会社に対して慰謝料や逸失利益などの損害賠償を請求できる可能性があります。
14級の場合、裁判基準による後遺障害慰謝料はおおむね110万円程度とされており、これに逸失利益が加われば、労災保険の給付額を大きく上回る賠償を受けられるケースもあります。
【参考】労災における安全配慮義務違反とは?会社に損害賠償請求できる?
労災を弁護士に相談するメリット

適正な障害等級の認定をサポートしてもらえる
障害等級は、提出する資料や診断書の記載内容によって結論が変わり得ます。
本来14級に該当する症状があるのに認定されなかった、あるいはより上位の等級に該当する可能性があるのに低い等級にとどまった、というケースも見受けられます。
弁護士に相談すれば、症状に見合った適正な等級認定を受けるための資料収集や申請手続き、認定結果に不服がある場合の審査請求までサポートを受けられます。
会社への損害賠償請求を任せられる
前述のとおり、会社に落ち度がある場合には慰謝料などの損害賠償を請求できる可能性があります。
しかし、在職中の会社を相手に個人で交渉することには大きな心理的負担が伴いますし、適正な賠償額を算定するには専門的な知識が必要です。
弁護士が代理人となることで、法的根拠に基づいた適正な金額を、ご本人に代わって会社側と交渉することができます。
手続きの負担を軽減し、治療に専念できる
労災の申請手続きや会社とのやり取りを弁護士に任せることで、被災された方は治療と生活の立て直しに専念できます。
労災でお困りの方は、お気軽に山本総合法律事務所へご相談ください

後遺障害14級は「軽い障害」と思われがちですが、痛みやしびれを抱えながら働き続けることは決して小さな負担ではありません。
労災保険の給付を適切に受け取ることはもちろん、会社への損害賠償請求まで含めて検討することで、受け取れる金額が大きく変わる可能性があります。
山本総合法律事務所は、群馬県高崎市と前橋市を拠点に、労災に遭われた方のご相談を数多くお受けしてきました。
「この症状で等級認定されるのか」「会社に賠償請求できるのか」といった疑問をお持ちの方は、おひとりで悩まず、どうぞお気軽に当事務所の弁護士までご相談ください。




