雪で通勤中に転んで負傷した場合は労災事故になる?弁護士が解説

雪で通勤中に転んで負傷した場合は労災事故になる?弁護士が解説

労働災害(労災)の中でも、転倒事故はよくみられる類型のひとつです。業務中の事故だけでなく、通勤途中に雪道で滑って転んでしまう事故も多発しています。

群馬県内でも、転倒災害は年500件前後発生しており、とりわけ冬季(12月~3月)の事故件数は多いです(参考:群馬労働局管内における転倒災害発生状況|群馬労働局)。年齢別にみると、50歳以上の割合が大きくなっています。骨折するケースも目立ち、仕事に相当な影響が生じているでしょう。

業務中の事故はもちろん、通勤中に雪道で転んでケガをしたときにも、通勤災害として労災が認定される可能性があります。会社を通じて申請し、給付を受けるのが重要です。もっとも、寄り道をしていたなど、労災の対象外となるケースも存在します。

本記事では、通勤中の転倒事故について、労災の認定基準や給付などを解説しています。通勤中に雪で転んで負傷した方に知っていただきたい内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

労災(通勤災害)の判定基準

通勤

労災(労働災害)とは、業務を原因とするケガや病気のことです。

労災には、大きく分けて「業務災害」と「通勤災害」があります。業務そのものが要因となって生じたケガだけでなく、通勤中の事故によるケガも給付の対象です。

通勤災害が認定されるには、以下の要件をすべて満たした「通勤」でなければなりません。

  • 就業に関するものである
  • 通勤に該当する移動である
  • 合理的な経路・方法による
  • 逸脱・中断がない

順に解説します。

就業に関するものである

まず、業務に関係する移動でなければなりません。すなわち、業務に向かうため、もしくは業務を終えたことによる移動である必要があります。

当日に勤務予定があれば、問題なく認められます。勤務時間帯から多少ずれていてもよく、雪の影響を考慮していつもより早めに出たり、降雪による渋滞や交通機関の乱れで遅刻したりしていても構いません。

通勤に該当する移動である

通勤といえるには、以下のいずれかの移動に該当しなければなりません。

  1. 住居と就業場所との往復
  2. 就業場所から他の就業場所への移動
  3. 住居と就業場所との往復に先行または後続する住居間の移動

①は、自宅から職場への一般的な通勤をイメージしてください。ただし「住居」には、自宅だけでなく、仕事のために職場近くに借りたアパートなども含まれます。雪の影響で自宅との往復が困難であるために職場近くのホテルに泊まるケースでも、「住居」と認められると考えられます。

②に関係するのは、副業を行っているようなケースです。本業の勤務先から副業の勤務先までの移動も通勤と認められます。

③は、単身赴任を想定したものです。職場と赴任先の自宅との往復だけでなく、赴任先から家族の待つ帰省先、帰省先から職場への移動も通勤に該当します。

合理的な経路・方法による

通勤と認められるには、一般的に利用される経路・方法でなければなりません。

経路としては、通常利用するものであれば合理的とされます。必ずしも会社に届け出ている経路である必要はありません。雪の影響で通行止めや運休が生じたために普段と異なるルートで通勤したケースでも、合理的な経路となり得ます。

方法については、一般的な方法であれば合理的とされます。公共交通機関(電車・バス等)、徒歩、自転車、自動車などであれば問題ありません。雪の影響でいつもと違う方法をとっていても(例:自転車→徒歩)、方法自体に問題がなければ通勤災害が認定され得ます。

逸脱・中断がない

通勤途中で「逸脱」や「中断」があったときは、基本的に通勤災害と認定されません。「逸脱」とは通勤経路から外れることを、「中断」とは通勤とは関係ない行為をすることをいいます。

逸脱・中断にあたるのは、たとえば、飲食店で飲酒するようなケースです。もっとも、通勤経路上で飲み物を買う、公衆トイレを利用するといったささいな行為は、逸脱・中断には該当しません。

また、日常生活に必要な行為を目的とする最小限度のものであれば、いったん逸脱・中断しても、その後経路に戻った後は通勤と認められます。たとえば、以下の行為です。

  • スーパーで日用品を購入する
  • 病院に通院する
  • 保育園に子どもを送迎する

ただし、逸脱・中断の最中は通勤には該当しません。通勤経路に戻った後の事故が対象です。

【参考】ひかれた・衝突事故

通勤中に雪で転んで負傷したら労災になる?

雪の中の通勤

通勤中に雪道で転んでケガをしたときでも、上記の要件をすべて満たしていれば通勤災害として労災の対象となります。

たとえば、以下のケースでも通勤災害になり得ます。

  • 雪で時間がかかることを考慮して、普段より早めに家を出た
  • 雪で帰宅できなくなり、就業後に職場近くのホテルに向かった
  • 雪の影響で交通に乱れが生じ、普段と異なる経路・方法をとった
  • 帰宅時にスーパーに立ち寄り、通勤経路上に戻った後に転倒した

たとえ不注意で転んだとしても、通勤災害の対象です。通勤中のケガであれば、労災を申請するようにしましょう。

通勤災害で受け取れる給付

お金と電卓

通勤災害と認定されると、労災保険から各種給付を受けられます。

主な給付は以下の通りです。

給付の種類概要
療養給付治療に要する費用
休業給付労災のために労働できない分の賃金
傷病年金療養開始から1年6ヶ月経過しても治癒せず一定の障害が残っているときの給付
障害給付治癒(症状固定)後に後遺障害が残ったときの給付
介護給付介護が必要になった場合の給付
遺族給付死亡したときの給付
葬祭給付死亡時の葬儀費用

業務災害では「○○補償給付」、通勤災害では「○○給付」と名称が変わりますが、給付内容に違いはありません。通常は会社を通じて申請しますが、会社が拒否するときには、自分で手続きを進められます。

なお労災では、すべての損害に対して給付がなされるわけではありません。会社に法的責任があるときには残りの部分について損害賠償請求が可能ですが、一般的に通勤災害では会社に責任があるとは認められづらいでしょう。

【参考】労働災害の休業補償

労働災害を弁護士に相談するメリット

ポイント

通勤中に雪で転倒した際に弁護士に相談するメリットとしては、以下が挙げられます。

  • 通勤災害に該当するかを判断できる
  • 会社が拒否していても申請手続きをサポートしてもらえる
  • 適正な後遺障害等級認定を受けられる
  • 会社に法的責任が認められるときは損害賠償請求ができる
  • 法的手続きから解放され治療や日常生活に集中できる

適正な給付を受けるには、早めの相談が重要です。事故後、早い段階でご相談ください。

【参考】労働災害を弁護士に相談すべき3つの理由

雪道を通勤中の転倒事故はお気軽に弁護士にご相談ください

弁護士一同

ここまで、雪道を通勤中に転倒してケガをした場合について、労災(通勤災害)が認められる要件や、給付内容などを解説してきました。

通勤中の転倒事故であれば、通勤災害の対象です。普段と違う経路や方法であっても、通勤災害になり得ます。

すべてをまかなえるとは限りませんが、労災ではある程度手厚い給付が用意されています。「不注意で滑ってしまったから仕方がない」「会社は労災にならないと言っている」などと諦めずに、申請手続きをして、給付を受け取るようにしましょう。

山本総合法律事務所は、群馬県内でも規模が大きい弁護士事務所のひとつです。これまで、群馬・高崎に密着して、地域の皆様から労災に関する数多くの相談を受けて参りました。微妙なケースで通勤災害に該当するかを判断するだけでなく、後遺障害認定にも精通しているため、適正な等級認定をサポートできます。

通勤中に雪道で転倒してケガを負った方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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