手指の切断について -後遺障害と損害賠償-

手指の切断について -後遺障害と損害賠償-

業務中の事故で手指を切断した際には、本数や状態に応じて労災の後遺障害等級が認定され、補償を受けられます。

労災から補償されない損害については、会社への請求も可能です。

労災と会社への請求を組み合わせることで、足りない部分を補い合い、最大限の補償を受けられます。

本記事では、手指の切断による後遺障害や会社への損害賠償請求などについて解説しています。

業務中の事故により手指を切断するケガを負われた方に知っていただきたい内容ですので、ぜひ最後までお読みください。

業務中に手指の切断事故が起こるケース

考え事をしている写真

業務中に手指の切断事故が起こるケースとしては、以下が挙げられます。

  • 木材や金属を加工する機械が誤作動した
  • プレス機に指を挟まれた
  • 重いものが落下して指が下敷きになった
  • 山林でチェーンソーを使用している際に操作を誤ってしまった

手指の切断は、機械を用いる製造業で発生しやすいほか、建設業・林業などの現場作業でも生じるリスクがあります。

手指の切断で該当する後遺障害

受診している様子

手指を切断する事故に遭った際には、まずは速やかに医療機関を受診し、最大限の治療を受けるのが重要です。

業務中の事故は基本的に「業務災害」として労災に該当するため、申請すれば「療養補償給付」として治療費の補償を受けられます。

加えて、治療中に働けない分の賃金は「休業補償給付」として補償されます。

支給されるのは、休業補償給付として賃金の60%、休業特別支給金として賃金の20%、合計で80%相当額です。

治療をしても元通りにならなければ、切断した本数や状態に応じて、労災における後遺障害が認定されます。

手指の切断で認定される後遺障害等級と症状は以下の通りです。

等級症状
3級両手の手指の全部を失ったもの
4級両手の手指の全部の用を廃したもの
6級1手の5の手指または母指を含み4の手指を失ったもの
7級1手の母指を含み3の手指または母指以外の4の手指を失ったもの1手の5の手指または母指を含み4の手指の用を廃したもの
8級1手の母指を含み2の手指または母指以外の3の手指を失ったもの1手の母指を含み3の手指または母指以外の4の手指の用を廃したもの
9級1手の母指または母指以外の2の手指を失ったもの1手の母指を含み2の手指または母指以外の3の手指の用を廃したもの
10級1手の母指または母指以外の2の手指の用を廃したもの
11級1手の示指、中指または環指を失ったもの
12級1手の小指を失ったもの1手の示指、中指または環指の用を廃したもの
13級1手の小指の用を廃したもの1手の母指の指骨の一部を失ったもの
14級1手の母指以外の手指の指骨の一部を失ったもの1手の母指以外の手指の遠位指節間関節を屈曲することができなくなったもの

※母指=親指、示指=人指し指、環指=薬指を意味します。

認定基準の「手指を失った」とは、以下のいずれかの状態です。

  • 中手骨(掌の中にある骨)または基節骨(掌に近い指の骨)で切断したもの
  • 第2関節(親指では第1関節)において、基節骨と中節骨(基節骨より指の先端側の骨)とを離断したもの

簡単にいえば、第2関節(親指では第1関節)以上を失ってしまった場合をいいます。

「手指の用を廃した」とは、以下のいずれかの状態です。

  • 手指の末節骨(指の最も先端の骨)の長さを1/2以上失った
  • 第2あるいは第3関節(親指では第1あるいは第2関節)の可動域が健側の1/2以下に制限された
  • 親指について、橈側外転または掌側外転のいずれかが健側の1/2以下に制限された
  • 手指の末節の指腹部及び側部の深部感覚及び表在感覚が完全に脱失した

簡単にいえば、指先を失った、指をうまく動かせなくなった、指の感覚がなくなった状態です。

「失った」「用を廃した」のいずれについても、仕事に大きな影響を及ぼす状態であるため、後遺障害が認定されます。

【参考】右環指、小指切断で10級6号が認定され、約1211万円が補償された事例

労災の後遺障害等級認定とは

労災の後遺障害認定とは?

労災の後遺障害は、症状固定(それ以上治療しても症状の大幅な改善が見込めない状態)に至ってから申請します。

等級は1級から14級までに分かれており、数字が小さい方が症状が重いです。

後遺障害が認定されると、等級に応じて障害補償給付を受けられます。

1級から7級では年金として「障害補償年金」「障害特別年金」が、8級から14級では一時金として「障害補償一時金」「障害特別一時金」が、平均賃金やボーナスを基準に支給されます。

加えて、すべての等級について定額の「障害特別支給金」が支払われます。

手指の切断で認定され得る等級について、金額は以下の通りです。

【3級から7級】

等級障害補償年金(平均賃金基準)障害特別年金(ボーナス基準)障害特別支給金(定額)
3級245日分245日分300万円
4級213日分213日分264万円
6級156日分156日分192万円
7級131日分131日分159万円

【8級から14級】

等級障害(補償)一時金(平均賃金基準)障害特別一時金(ボーナス基準)障害特別支給金(定額)
8級503日分503日分65万円
9級391日分391日分50万円
10級302日分302日分39万円
11級223日分223日分29万円
12級156日分156日分20万円
13級101日分101日分14万円
14級56日分56日分8万円

手指の切断で会社に損害賠償請求する場合

お金と電卓

労災保険からは、療養補償給付(治療費)、休業補償給付(休業損害)、障害補償給付(逸失利益)などの補償を受けられます。

もっとも、以下の通り、労災で補償されない部分も存在します。

  • 休業損害は全額までは補償されない
  • 逸失利益の補償は一部にとどまる
  • 慰謝料は一切支払われない

労災で補償されない部分は、会社への損害賠償請求が可能です。

法的な根拠としては、安全配慮義務違反や使用者責任が挙げられます。

安全配慮義務とは、労働者が生命・身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、使用者が必要な配慮をする義務です(労働契約法5条)。

たとえば、機械の点検整備をする、安全に作業を行うための教育・研修をするといった義務があります。

違反した結果として従業員に損害が発生すると、会社に責任が生じます。

使用者責任とは、従業員のした行為について会社が負う責任です(民法715条)。

上司のミスにより部下がケガをしたような場合には、会社にも責任が生じます。

労働者としては、いずれを法的根拠として主張しても構いません。

ただし、会社に請求した際には、事故について労働者側にも落ち度があったとして「過失相殺」を主張されるケースが多いです。

証拠をもとに正しく反論しないと、支払額が減額されるリスクがあります。

【参考】労災における安全配慮義務違反とは?会社に損害賠償請求できる?

当事務所における手指切断の解決事例

プラスチックを成型する機械の操作をする男性

業務中の事故で手指切断のケガを負った方について、当事務所における解決事例をご紹介します。

【事案の概要】

  • 30代男性
  • プラスチックを成型する機械の操作をする業務に従事
  • カッターを動かした際に、誤って右手小指の先と薬指の第1関節までを切断
  • 後遺障害10級に認定

依頼者様は、治療中に今後の流れに不安があるとして相談にお見えになり、後遺障害の認定や会社との示談交渉をご依頼いただきました。

当事務所では、労災支給額を確定したうえで、会社に請求できる損害賠償額を算定し、交渉を開始しました。

会社は安全配慮義務違反がない旨を主張したものの、依頼者が入社間もない状況で一人で機械操作を行っていたことや、教育体制が不十分であったことを理由に、義務違反を主張しました。

結果として、会社は安全配慮義務違反を認め、従業員側にも一定の過失があることを前提に、訴訟をせずに合意に至りました。

この事例について詳しくは、以下でご紹介しています。

【参考】右環指、小指切断で10級6号が認定され、約1211万円が補償された事例

弁護士介入のメリット

メリット

手指切断のケースで、弁護士が介入するメリットとしては、以下の点が挙げられます。

  • 足りない証拠を収集できる
  • 後遺障害認定も含め、労災の申請をサポートしてもらえる
  • 後遺障害認定が正しいか判断し、場合によって不服申し立てもできる
  • 会社との示談交渉を任せられ、法的に正しい金額を主張できる
  • 交渉がまとまらないときは、労働審判や訴訟の手続きを任せられる

金銭面のメリットだけでなく、面倒な手続きを任せて時間的負担を削減できるとともに、争いに伴う精神的なストレスも軽減できます。

泣き寝入りせずに、まずはご相談ください。

【参考】労働災害に関する弁護士費用

まとめ

弁護士一同

ここまで、手指切断につき、労災の後遺障害や補償内容、会社への損害賠償請求などにつき解説してきました。

業務中に手指を切断する事故に遭った際には、労災に該当し、後遺障害認定を受けられます。

労災からの補償では足りない部分については、会社への請求が可能です。

労災と会社への請求を組み合わせることで、最大限の補償を受けられます。

もっとも、会社が事故の責任を従業員に押し付け、支払い義務を認めないケースが多いです。

弁護士に依頼すれば、証拠をもとに正当な権利を主張し、できる限りの補償を求められます。

金銭面だけでなく、時間的・精神的な負担を軽減できるメリットも大きいです。

治療や日常生活に集中しつつ、最大限の補償を求めるには、弁護士への相談・依頼をオススメします。

山本総合法律事務所は、群馬県内でも規模が大きい弁護士事務所のひとつです。

これまで、高崎市・前橋市を中心として、群馬全域に密着し、地域の皆様から労災に関する数多くの相談を受けて参りました。

難しいご依頼でも弁護士がチームを組んで対応し、皆様を徹底的にサポートいたします。

業務中の事故で手指を切断された方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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